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第6回 『経営コンサルティング会社から見た事業会社とPEファンドの比較』
(アウトソーシング編)

但し、PEファンドにおいても、外注の利用がうまく機能しない場合があることを最後に触れておきたい。
その一つは、PEファンドの保有株が少なく、投資先企業側の力が強い場合である。そのような状況下では、投資先企業のやる気がなければ、いくらPEファンド側の担当者が必要だと考えていても、プロジェクトは一向に進まない。状況によっては1年経過しても動かず、後ろ向きな事業会社と変わらないことになる。
もちろん、そのような場合でもPEファンドは諦めるわけではなく、社内調整のための事前準備やプロジェクト推進のために、コンサルティング会社やサプライヤーと一緒に投資先企業の説得に力を注ぐ。

もう一つは、イグジットに絡むサービス中止である。イグジット先にもよるがPEファンドの手を離れる場合、一旦プロジェクトは終わることが多い。仕切り直して、再契約する場合もあるが、3~4割がそのまま終了する(6~7割継続する)。ファンドからファンドへの売却であれば、継続することも多いが、事業会社や上場した場合は、一旦プロジェクト終了となることがほとんどである。
しかも上場ではなく、企業やファンドへの売却は突然決定するため(水面下では突然ではないだろうが)、「このプロジェクトは続けた方が効果を出せるのに残念だな」と思うことは少なくない。
しかし、株主が全て変わるため、そうもいかないのが現状である。

本来サプライヤーやコンサルティング会社をうまく使いこなせるのは制約のない事業会社であるはずだが、実際はPEファンドの方が外注の利用に長けている。一方で事業会社においては各組織の形態により、自社の得意分野を認識し、しかるべきタイミングや分野において、自社のリソースだけで完結するのではなく、適格な外注を行い、場合によっては新たな株主の増資等を受け入れ、更なる成長のために効果的な外部プレイヤーとの連携が重要となってくるのではないだろうか。

私は常々、企業は人であると考えている。そして、コンサルタント会社の経営者でもあることから、大前研一氏の著書である『企業参謀』から次の言葉の「人」を「企業」に置き換えて、〆の言葉としたい。
「企業が変わる方法は3つしかない。
1番目は時間配分を変える。
2番目は住む場所(環境)を変える。
3番目はつきあう人を変える。
この3つの要素でしか企業は変わらない。最も無意味なのは『決意を新たにする』ことだ。」
改めて、外部との連携が如何に重要であるかを認識させられる。

著者プロフィール 佐谷 進(さたに すすむ)

株式会社プロレド・パートナーズ 代表パートナー
ジェミニ・コンサルティングを経て、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン株式会社(現プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社)へ転籍。大手製造業のコストマネジメントおよびリエンジニアリングなどに従事。
その後、不動産投資信託の運用会社であるジャパン・リート・アドバイザーズ株式会社に入社し、住宅、オフィス、商業施設、ホテル、物流物件の取得から運用・コストマネジメントを担当。
2009年に株式会社プロレド・パートナーズを設立し、コスト削減と企業不動産に特化したコンサルティングを提供している。
大阪生まれ大阪育ち。趣味はゲーム全般(ボードゲーム含む)と漫画。
東京藝術大学美術学部卒。

◇主な著書
『体温の伝わる交渉』(ウィズワークス) 2014年

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