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第6回 『経営コンサルティング会社から見た事業会社とPEファンドの比較』
(アウトソーシング編)

株式会社プロレド・パートナーズ
代表パートナー 佐谷 進

2015年6月30日

本コラムの趣旨

私は前々職が経営コンサルティング、前職が不動産ファンド、そして、現在は特化型の経営コンサルティングファームの経営者として、かれこれ20年近く「PEファンドもしくはPEファンドの投資先企業」「PEファンドの投資先ではない企業(以下「事業会社」と表示)」の両者と仕事をする機会に恵まれてきた。今回、両者の違いや良し悪しをアウトソーシング(以下「外注」と表示)にフォーカスし、コンサルタントとしてアウトソースされる側の立場から、少し書き連ねてみた。本コラムは経験のみの仮説ベースであるため、定量的ではない部分もあるが、ご指摘やご意見等いただければ大変ありがたい。

経営コンサルタントとして、様々な企業からコンサルティング依頼を受けていると「この企業は仕事がしやすいな」「この企業は進めづらいな」と感じることがある。
さらに言えば「この企業では多くの成果を出せそうだな」「この企業では私たちがあまり役立ちそうにないな」「この企業は注意深く進めていかないとプロジェクトが止まるな」と感じると同時に、外注する側にも、外注の仕方に上手い下手のあることがわかる。
そのような区分けで言えば、PEファンドとその投資先企業では「この企業は多くの成果を出せそうだな」と感じることが多い。

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業務フェーズによって異なるPEファンドと事業会社のコンサルティング会社への対応の違い

コンサルティングの流れを図1に沿って説明すると、主にプロジェクト実行までの営業部分は大きく3つのフェーズに分かれている。
①「コンサルティング会社からの提案」
②「クライアントからのコンサルティング会社の選定」
③「クライアントとコンサルティング会社の契約」となっている。
その流れで説明すると、PEファンドと事業会社では、①の提案部分から両者の対応は大きく異なる。一般的に事業会社との接点は、知人や提携先からの紹介が最も多く、事業会社から直接問い合わせを受けて提案に行くというケースは稀である。しかしPEファンドとの接点は、PEファンドからの直接問い合わせのケースが事業会社よりも多い傾向にある。そのような意味合いからPEファンドは外注できるサプライヤーやコンサルティング会社を主体的に探しているということが言える。
実際にPEファンドが投資している会社において、その業界や業務特有のコンサルティングが必要な場合、PEファンドはその分野に詳しい関係者へのヒアリングやサプライヤーからの提案を積極的に受ける。コンサルティング会社を利用する場合も同様で、以前、弊社がある特定の分野のコスト削減に強みがあるということで提案を行った際には、弊社以外に5~10社程度の提案を受けていたことを後から聞かされた。また、PEファンドから提案時によく出される質問として「御社の競合はどこですか」と直接聞いてくることが多い。正直に話すかどうかを一瞬迷うが、黙っていたところで、探しだすだろうし、弊社としても入札で選定した方がプロジェクト化した場合、進めやすくなるので(多く提案の中から客観的に一社を選んだことによる安心感のため)、素直に話すことにしている。しかし、事業会社からはこの手の質問を受けることはほとんどない。
PEファンドが毎回必ず多くのサプライヤーやコンサルティング会社からヒアリングしているかというとそういう訳でもない。PEファンドと一度仕事し信頼されると、PEファンドが投資している他の会社の仕事も依頼され、2社目、3社目と投資先が増える度にプロジェクトが増えていくことが多い。その際には、新たな提案書作成の必要もなく、複数社から選定されるわけでもなく、契約と同時にプロジェクトの開始と話がスムーズに進む。
但し、その取引関係は絶対的なものではないため、他に良い外注先がいればすぐそこに変更する。そのため、弊社と一度も関わりのないPEファンドに対しては、営業のチャンスがある反面、既に仕事をしたことがあるPEファンドに対しては、常にサプライヤー変更の可能性があるため、気の抜けない状況が続くことになる。
また、提案に対する判断も非常にスピーディーである。長くても1ヶ月程度、早ければその週にはどうするか、回答がある。一方、事業会社は担当部署から部長、役員、社長と決裁ラインの長いケースが多く、場合によっては事前の根回しが必要であるため、回答が遅い傾向にある。もちろん経営者や担当部署にやる気がある場合は、PEファンドと同じようなスピードで対応するが、多くの場合、2-3ヶ月から長い時には1年程度検討することもある。そのため、プロジェクト化の際には、経済情勢や社内状況が変わっていて、当初の提案通りにいかないこともある。

著者プロフィール 佐谷 進(さたに すすむ)

株式会社プロレド・パートナーズ 代表パートナー
ジェミニ・コンサルティングを経て、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン株式会社(現プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社)へ転籍。大手製造業のコストマネジメントおよびリエンジニアリングなどに従事。
その後、不動産投資信託の運用会社であるジャパン・リート・アドバイザーズ株式会社に入社し、住宅、オフィス、商業施設、ホテル、物流物件の取得から運用・コストマネジメントを担当。
2009年に株式会社プロレド・パートナーズを設立し、コスト削減と企業不動産に特化したコンサルティングを提供している。
大阪生まれ大阪育ち。趣味はゲーム全般(ボードゲーム含む)と漫画。
東京藝術大学美術学部卒。

◇主な著書
『体温の伝わる交渉』(ウィズワークス) 2014年

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