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第4回 『プライベート・エクイティ(PE)の付加価値』
~具体的な投資事例を踏まえて~

斎藤 玄太 「カーライル・グループ ヴァイスプレジデント」

2015年2月19日

1. 拡大するPE投資へのニーズ

日本におけるPE投資の歴史はまだ15年ほどに過ぎない。まだまだ一般的には、PEファンドは何をするところなのか、どのような付加価値を提供できるか、十分に理解されているとは言えない状況である。以前は、ハゲタカファンドなどと言われた時期もあり、必ずしも良いイメージを持たれていなかったのも事実である。

しかしながら、近年このPEファンドに対する見方が大きく変わって来ていることを、業界の中で日々PE投資の現場に携わっていると強く感じる毎日である。PEファンドをパートナーとして、事業の新しい展開を考えている企業や会社のオーナーが確実に増えているのである。以前は、まず投資機会を探そうとして、会社に面談を申し込んでもなかなか会えないことが多かった。また、仮に面談ができ、企業価値向上の提案をしても、自社の今の状況でPEファンドは関係ないと門前払い同然のことも少なくなかった。

それが、今確実に変わって来ているのである。我々の企業に対する見立てや価値向上策に耳を傾ける経営者が増えている。また、継続的に検討をしようというケースが増え、PE投資機会に結びつくことが多くなってきているのである。極端な場合では、PEファンド側から提案をする前に、企業の担当者やオーナーから一度会って話をしたいと申し込まれるケースも出てきたのである。このようなことは、以前は全くなかったことである。

そのような中でも、特に目立つのはオーナー企業の事業承継ニーズに対応したPE投資機会の急拡大である。日本には現在約40万社を超えるオーナー企業が存在するといわれている。ある調査では、そのうち約3分の2の企業が事業を承継してくれる次の世代の経営者が見つかっていないと答えている。オーナー企業の多くは戦後創業したところが多く、今、オーナー企業のトップは創業者から数えると2代目や3代目という人が多い。このような創業2代目、3代目の人たちも平均年齢が確実に上がってきていて、次に誰に事業を任せようと考えたときにその候補になる人を決めきれないのである。

日本の中堅、中小オーナー企業の実情

オーナー企業の事業承継ニーズに対応したPE投資機会の拡大には次のような背景があると考えられる。まず、事業環境が厳しさを増し、以前であれば躊躇なく自分の子供に事業承継したケースでも、経営の困難さを考えると簡単にはそのように行かないと考えるオーナーが多くなっている。日本の人口が今や減少局面に入り、顧客マーケットも以前のように成長市場ばかりではなくなっている。そのような環境で事業を引き続き成長させようと思うと、今までのやり方では確実に限界が来る。新たな事業展開の方法を追及するか、海外に顧客を求めて会社の経営を抜本的に変えていく必要が出てきているのが現実である。

しかしながら、日本の中堅、中小企業にはそのようなことを実現できる人材に恵まれていないケースが圧倒的に多い。過去から続いてきた日本人の大企業志向が、中堅、中小企業への人材の流入を妨げてきたのは事実である。そのような状況ではあるものの優秀なオーナーのリーダーシップによって素晴らしい技術、製品、サービスを提供している企業は少なくない。しかし、日本企業を取り巻く事業環境の変化に対応し、オーナー企業でも早急に変革を実現しなければいけない現状に、PEファンドの投資や価値を提供する機会がある。

オーナー企業のトップの考え方が微妙に変わってきたことも、PEファンドのオーナー企業投資の拡大を後押ししていると考えられる。以前であれば、自分が起こした事業を他人や他社に売却することなどタブー視されていたであろう。従業員は家族であり、その家族を他人に任せるなどという価値観は持ち合わせていなかったのである。しかし、今のオーナーの一部には、今の事業環境や会社の直面した現実を考えると、ここで一旦自分は身を引き、自分が築いてきた会社の価値や資産をキャッシュ化するのと同時に、確実に会社を成功に導いてくれる信頼のできるパートナーに任せようと考える人も出てきたのである。

ここで重要なことは、日本のPE投資が15年という歴史を経て、オーナー企業への投資を成功させた実績を確実に積み上げてきたことである。そのような実績を見て、事業承継に困っているオーナーがPEファンドに門戸を開くケースが確実に増えているのである。

日本の中堅、中小オーナー企業の実情

オーナー企業の事業承継ニーズに対応したPE投資機会の拡大には次のような背景があると考えられる。まず、事業環境が厳しさを増し、以前であれば躊躇なく自分の子供に事業承継したケースでも、経営の困難さを考えると簡単にはそのように行かないと考えるオーナーが多くなっている。日本の人口が今や減少局面に入り、顧客マーケットも以前のように成長市場ばかりではなくなっている。そのような環境で事業を引き続き成長させようと思うと、今までのやり方では確実に限界が来る。新たな事業展開の方法を追及するか、海外に顧客を求めて会社の経営を抜本的に変えていく必要が出てきているのが現実である。

しかしながら、日本の中堅、中小企業にはそのようなことを実現できる人材に恵まれていないケースが圧倒的に多い。過去から続いてきた日本人の大企業志向が、中堅、中小企業への人材の流入を妨げてきたのは事実である。そのような状況ではあるものの優秀なオーナーのリーダーシップによって素晴らしい技術、製品、サービスを提供している企業は少なくない。しかし、日本企業を取り巻く事業環境の変化に対応し、オーナー企業でも早急に変革を実現しなければいけない現状に、PEファンドの投資や価値を提供する機会がある。

オーナー企業のトップの考え方が微妙に変わってきたことも、PEファンドのオーナー企業投資の拡大を後押ししていると考えられる。以前であれば、自分が起こした事業を他人や他社に売却することなどタブー視されていたであろう。従業員は家族であり、その家族を他人に任せるなどという価値観は持ち合わせていなかったのである。しかし、今のオーナーの一部には、今の事業環境や会社の直面した現実を考えると、ここで一旦自分は身を引き、自分が築いてきた会社の価値や資産をキャッシュ化するのと同時に、確実に会社を成功に導いてくれる信頼のできるパートナーに任せようと考える人も出てきたのである。

ここで重要なことは、日本のPE投資が15年という歴史を経て、オーナー企業への投資を成功させた実績を確実に積み上げてきたことである。そのような実績を見て、事業承継に困っているオーナーがPEファンドに門戸を開くケースが確実に増えているのである。

PEファンドが投資をしたオーナー企業の成功例

筆者が所属するカーライル・グループでも過去に多くのオーナー企業への投資における成功例を持っている。過去20社ほどに投資をした中で、中堅のオーナー企業が約半分近くを占めており、近年その比率は上がってきている。キトー、学生援護会、ソラスト(旧日本医療事務センター)などが良い事例であるが、近年はベビースターラーメンのおやつカンパニー、三生医薬など、いずれも中堅の実力のあるオーナー企業に投資をしてきている。業界を見渡しても、オーナー企業への投資事例を見つけることに苦労はない。それらはいずれも中堅、中小企業で、PEファンドは確実にそれらの企業の成長に貢献してきているのである。実例をあげると、ユニゾン・キャピタルが投資をした「あきんどスシロー」や、アドバンテッジパートナーズが投資をした「コメダ珈琲店」を展開する「コメダ」などが代表例であろう。

あきんどスシローは国内で400店舗近くを展開する回転寿司最大手である。顧客の嗜好の多様化に対応し、ネタの鮮度にこだわり原価率50%という高さの一方、寿司が回るレーンをIT管理するなどコストダウンにも取り組み、確実に業績を上げてきた。人材育成にも取り組み、飲食業界の平均の離職率が30%のところ、あきんどスシローでは12%であるという。現在は、海外PEファンドの大手ペルミラの傘下に入り、海外事業の拡大も目指している。

コメダもPEファンドの傘下に入り、確実に業績を伸ばした。アドバンテッジパートナーズの傘下に入る前の2009年2月期の売上、営業利益がそれぞれ約38億円、約8億円だったのに対し、2012年2月期では売上は約90億円、営業利益は23億円を記録している。PEファンドが情報、物流、食材などの部門の効率化、合理化を強く進めつつ、確実に店舗網を拡大していったことがわかる。

以上の例のように、創業者から株式を引き受けたPEファンドがこれら企業の事業展開を着実に推し進め成功させた実績が数多く生まれている。この事実により、事業承継に困っているオーナーにとって、次の世代をPEファンドに託すことも一つのオプションとして検討の対象になってきているのである。

著者プロフィール 斎藤 玄太(さいとう げんた)

カーライル・グループ ヴァイスプレジデント
西村総合法律事務所(現西村あさひ法律事務所)にて弁護士としてM&Aなどの企業法務に従事
その後海外留学を経て、2006年7月、カーライル・グループに参画
埼玉県生まれ
趣味はゴルフ
東京大学法学部卒
ニューヨーク大学ロースクール法学修士課程修了
インシアード経営大学院修士課程修了(MBA)

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